銀行が発行するデビットカードには個人向けと法人向けの二種類があり、それぞれ、付帯されているサービスが多少異なります。法人向けというのはその名の通り、会社で利用するために発行されるカードであり、所有するのは会社の代表者や社員です。注意しなければならないのは、個人口座を通して法人用のデビットカードを申し込むことはできないという点です。たとえば、会社の代表者が所有する自分の口座からデビットカードを申し込んだとしても、発行されるのはあくまでも個人向けのデビットカードであり、法人名義のカードにはなりません。
では、法人名義のデビットカードと個人用のデビットカードを比較して、異なる点はどのような部分でしょうか。まず、法人名義のデビットカードには海外旅行時の傷害保険がついていることが多く、一方、個人用のデビットカードにはついていないことが多いです。これは、会社の業務で海外に出張するときに、デビットカードを使ってもらおうという銀行のアピールからでしょう。会社の代表者など、特定の人物宛だけに社員用のカード全部の利用通知メールが送信されるようにできるという機能もあります。社員の不正利用を防ぐために重要な機能といえるでしょう。
銀行によっては、個人向けのデビットはすべてプラスティックカードで発行するのに、法人名義のものは「バーチャルカード」も選択できるようにしていることがあります。バーチャルカードとは、カード番号や有効期限だけ発行して実体は存在しないというもので、当然持ち歩いて使うことはできません。では、どのようなケースで使うのかというと、たとえばネットショップでカード決済をする場合なら、カードそのものは必要ないのでバーチャルカードで十分なのです。バーチャルカードは落としたり、盗まれたりする心配がないので、プラスティックカードを持つよりも安全といえるでしょう。
個人向けと法人向けでまったく変わらない部分も多いです。たとえば、分割払いやリボ払いはできません。申し込んだ会社が世界的に有名で、口座に何百億円もあってもです。デビットカードは銀行が客の代わりに支払いを立て替えるシステムではなく、客の口座からカードのシステムを通じてお金を払うシステムなので分割払いは不可能なのです。口座に何百億円もあれば分割払いを可能にしてもまったく問題ないように思えるかもしれませんが、銀行の預金は客が別の銀行に移すなどして一瞬で0にすることができるので、使えないようにしているのは当然といえるでしょう。